PoE機器の導入前に知っておきたい Alternative A Bの基礎知識
2025.05.08 更新

1. PoEとは
PoE(Power over Ethernet)とは、LANケーブルを通じてネットワークデータと電力を同時に供給できる技術です。
従来は電源ケーブルとLANケーブルの2本が必要だった機器に対して、LANケーブル1本で済むようになるため配線工事の簡素化やコスト削減につながります。
PoEの技術は監視カメラ、無線LANアクセスポイント、IP電話などの設置に広く活用されています。
電源コンセントが近くにない場所でも、LANケーブルさえ届けば機器を設置できる利便性が大きな特徴です。
2. Alternative AとAlternative Bとは?
PoEには電力を伝送する方式として、
「Alternative A(オルタナティブ A)」と「Alternative B(オルタナティブ B)」の2つの給電方式が存在します。
Alternative A:データ伝送に使用する線(1,2,3,6番ピン)と同じ線を使って電力も供給する方式
Alternative B: データ伝送に使用しない予備の線(4,5,7,8番ピン)を使って電力を供給する方式
上記のどちらの方式で給電を行うかは、電力を供給する機器側(電源供給側機器 PSE)によって決定します。
電力を受ける側の機器(受電側機器 PD)は、ほとんどの機器でAlternative A/B両方の給電方式に対応するように設計されています。
IEEE802.3af準拠の受電側機器(PD)では、Alternative A/B両方に対応するよう定められています。
3. なぜ2種類の方式が存在するのか?
Alternative AとBという2つの方式が存在する理由は、PoE技術の発展の歴史が関係しています。
PoE技術が登場した初期(2000年代初頭)、業界標準が確立される前に各メーカーが独自の給電方式を開発していました。
各社が採用する方式が異なり、データ線を使う方式(後のAlternative A)と未使用線を使う方式(後のAlternative B)の両方が市場に流通していました。
2003年にIEEE 802.3af規格が制定される際、既に市場に出回っていたA/B両方の方式に対応するため、どちらの方式も標準として認められることになりました。
4. 互換性の問題
電力を受ける側の機器(受電側機器 PD)は、基本的にはAlternative A/B両方の給電方式に対応するように設計されていますが、
一部の機器ではAまたはBどちらかの方式にしか対応していない場合があります。
Alternative B方式の受電のみに対応したPoEカメラを使用する場合、給電する側はAlternative B対応でなければなりません。
A/B対応が異なる機器同士を接続すると、電源供給側が互換性のない機器と認識し電力が供給されず動作しません。
5. 機器の選び方のポイント
- 受電側の対応規格を確認する
- PoEカメラやIP電話などの、受電側の機器の仕様を確認しましょう。
IEEE802.3af準拠の受電側機器(PD)は、Alternative A/B両方に対応します。
- PoEカメラやIP電話などの、受電側の機器の仕様を確認しましょう。
- 給電側の対応規格を確認する
- 最近の機器では、A/B両方式の給電に対応している製品もあります。
「Alternative A/B両対応」と明記されている機器であれば、互換性の心配はありません。
- 最近の機器では、A/B両方式の給電に対応している製品もあります。
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- PoE対応のLANケーブルを使用する
- PoEではLANケーブル上で通信以外に電力供給を行うため、使用するケーブルによっては熱が発生します。
細い芯線のLANケーブルを使用すると温度が高くなり、場合によっては発火の危険性があります。
PoEで安定した給電と通信を行うために、Cat5e以上の単線仕様で導体径が太め(AWG24程度)のLANケーブルを使用することが大切です。
- PoEではLANケーブル上で通信以外に電力供給を行うため、使用するケーブルによっては熱が発生します。
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- 機器が必要とする電力を確認する
- PoEにはIEEE802.3af(最大15.4W)/802.3at(PoE+、最大30W)/802.3bt(PoE++、最大60〜90W)といった複数の規格があり、それぞれ給電できる電力の上限が異なります。
カメラやなど受電する機器によって必要な電力が異なるため、使いたい機器に合ったPoE規格を選ぶことが大切です。
Alternative A/Bの方式だけでなく、PoE規格も注意して機器を選びましょう。
- PoEにはIEEE802.3af(最大15.4W)/802.3at(PoE+、最大30W)/802.3bt(PoE++、最大60〜90W)といった複数の規格があり、それぞれ給電できる電力の上限が異なります。
6. まとめ
PoEは、電源と通信を1本のLANケーブルでまかなえる非常に便利な技術です。
しかし、きちんと規格や仕様を理解して機器を選定しないとうまく動作しなかったりトラブルにつながることもあります。
Alternative AとBの違いは電源を供給するピンの違いですが、機器の互換性に大きく影響します。
最近の機器は両対応の製品も増えていますが、A/B一方のみ対応の機器もあります。
購入前に仕様を確認し、互換性のある製品を選定しましょう。
選定や設定で困ったときには
設定や選定に不安がある場合は、専門業者に相談するのも一つの方法です。
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電源の確保が難しい場所では、LANケーブル1本で電力と通信の両方をまかなえるPoE(Power over Ethernet)がとても便利です。
しかし、PoEには「Alternative A」と「Alternative B」という2つの給電方式が存在します。
Alternative A/B 2つの違いを知らずに使ってしまうと、うまく動作しなかったりトラブルの原因になることもあります。
本記事では、これら2つの方式の違いと注意点について解説します。